東京、日本(東アジア) — 国土交通省の自転車活用推進本部は、都道府県や市町村が地域の特性に合わせた施策を策定するための「地方版自転車活用推進計画 策定の手引き(案)」を公表した。この指針は、2017年に施行された「自転車活用推進法」に基づき、地方自治体が自転車の活用を総合的かつ計画的に進めるための具体的な手順や記載内容をまとめたものである。
Background
日本における自転車政策は、かつては「自転車道の整備等に関する法律」(1970年)や「自転車安全利用促進法」(1980年)に基づき、道路整備や放置自転車対策に重点が置かれていた。しかし、地球温暖化対策としての環境負荷低減、国民の健康増進、災害時の代替交通手段の確保といった新たな課題が浮上している。これらに対応するため、2017年5月に「自転車活用推進法」が施行された。その後、2018年6月には国の施策の根幹となる「自転車活用推進計画」が閣議決定され、地方自治体にも地域の実情に応じた独自の計画を策定する努力義務が課されることとなった。
Details
本手引きでは、地方版推進計画を自治体における自転車関連政策の「最上位計画」と定義している。計画には、目的、対象区域、期間(国の計画と整合させた2020年度まで、またはそれ以上の長期)、現状と課題、具体的な目標と施策、そして推進体制などを盛り込むことが求められる。計画策定にあたっては、警察、有識者、交通事業者、住民団体等からなる協議会の設置が推奨されており、アンケートやパブリックコメントを通じた合意形成の重要性が強調されている。
具体的な施策の検討材料として、以下の4つの主要目標が示された:
- 都市環境の形成:自転車ネットワーク計画に基づく通行空間の整備や、シェアサイクルの普及促進。
- 健康長寿社会:サイクルスポーツの振興や自転車通勤の促進による健康づくり。
- 観光立国:サイクルツーリズムの推進と、世界に誇るサイクリング環境の創出。
- 安全で安心な社会:点検整備の促進や、学校における交通安全教育の徹底。
特にインフラ面では、歩行者、自転車、自動車を適切に分離した「自転車ネットワーク計画」を地方版計画内に位置づけることが基本とされている。これには、自転車道の整備だけでなく、路外駐車場の確保や違法駐車の取り締まり強化など、走行空間の安全性を担保するための多角的なアプローチが含まれる。
Future Outlook
国土交通省は、本手引きの活用により、都道府県境や市町村境を越えた広域的な生活圏・観光圏での連携が進むことを期待している。各自治体は策定した計画に対し、客観的・定量的な指標を用いて毎年度フォローアップを行い、その結果を公表する必要がある。また、社会情勢の変化や国の計画の改定に応じて、内容を適宜見直していくことが求められる。自転車を単なる移動手段ではなく、公共性を有するモビリティとして再定義し、安全で快適な利用環境を計画的に創出することが、今後の地域交通の鍵となるだろう。